3.経営戦略マネジメント

1 経営戦略手法


(1) 経営戦略


経営戦略は企業の中長期的な基本方針です。戦略を検討する範囲やレベルに応じて、経営戦略は次のように階層化されています。経営戦略の策定においては、市場動向、技術動向、法令、企業環境の変化などの広範囲にわたる情報が必要になります。
だいちゅうしょう
だい 
 全社戦略(企業戦略):事業の基本構成や経営資源の配分など、企業全体にかかわる基本戦略
ちゅう 
 事業戦略:事業領域の設定や事業モデルなど、事業の優位を確立するために事業単位で策定する戦略
しょう 
 機能別戦略:営業戦略や人事戦略など、機能単位で策定する戦略

経営戦略の策定では、達成すべき目標と現状とのギャップを経営課題として抽出します。経営課題の抽出に関しては、環境面と業務面に着目します。
環境
 外部環境 マーケットシェア拡大、販売チャネル確保など
 内部環境 経費削減、過剰在庫抑制など
業務
 基幹業務 生産管理、販売管理、顧客管理など
 非定型業務 企業経営のための意思決定など

(2) 全社戦略

全社戦略は、事業領域(事業ドメイン)、経営資源、コアコンピタンスの3つの視点で策定します。それぞれの視点を次に説明します。



事業領域(事業ドメイン):企業が事業を展開する領域を定めます。事業領域は、自社の強みの発揮度合い、あるべき姿の実現度合い、市場の大きさなどの観点から設定します。事業領域を明らかにすることによって、競争相手が明確になります。



経営資源:企業が持つ、ひと、もの、かね、情報などの資源を、どの事業領域にどう配分するかを決めます。



コアコンピタンス:企業の競争上の強みを明確にします。コアコンピタンスは、自社のサービスや製品を顧客が選択してくれるための原動力となります。


M and A

M and A(mergers and acquisitions)は、会社が合併(Merge)したり、ある会社がほかの会社を買収(acquisitions)したりすることです。

M And Aには、資本の移動を伴う株式譲渡、新株引取り、事業譲渡、合併などの形態があります。
資本の移動を伴わない技術提携や共同開発などの業務提携の形態もあります。M And Aは相手先企業の合意を得ないで行う敵対的M and A,相手先企業との合意成立後に行う好意的M And Aに分類できます。


M And Aの手法


T O B(Take Over Bid)

期間、株数、価格を公示して、不特定多数の株主から株式を買い集める手法

M B O(Management Buy Out)

企業の経営陣が、自社や自社んお事業部門を買収する手法です。

E B O(Employee Buy out)

企業の従業員が、所属する会社の経営権を取得したり、所属する会社の事業部門を買収したりする手法です。

L B O (Leveraged Buy out)

自己資金が少ない場合、買収対象企業の資産価値や買収対象企業に期待される今後のキャッシュフローを担保にして、買収に必要となる資金を借入金として調達し、買収を行う手法です。

M B I (Management Buy in)

企業の経営陣が、社外の第3社に自社の株式を取得してもらい、経営を引き継いでもらう手法です。



合併・買収の対象となる企業との関係によって、M And Aを次のように分類することができます。



垂直統合型M And A

同業種の中で業態の異なる企業間で行われるM And Aです。事業の上流から下流までを統合することを目的としています
シェアの拡大、技術力の向上、利益率の向上などが期待できます。原材料メーカと加工・製造メーカの統合などは垂直統合型に分類されます。


水平統合型M And A

同業種・同業態の中で行われるM And Aです。本業の規模の拡大、マーケットの拡大などお目的としています。M and Aによって規模が大きくなれば、商品や原材料の仕入れにおいてシナジー効果によるスケールメリットが期待できます。


コングロマリット型M And A

異業種の偉業との間で行われるM and Aです。本業とは異なる業界に進出したり、新市場を開拓したりすることを目的としています。異業種の偉業を取り込み、多方面の顧客差を獲得することなどによって、経営の安定化などが期待できます。

カーブアウト

Carve Out
カーブアウトは、企業が戦略的に事業の一部や埋もれた技術・人材などを独立させ、第3しゃの投資や経営参画を受け入れて、ベンチャー企業を設立することです。設立されたベンチャー企業には、第3しゃの経営参画によって経営の独立性を高めることができるというメリットがあります。

プロダクトポートフォリオマネジメント

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)は、市場成長率と、市場占有率を2つの軸にとり、自社の事業や製品をマッピングすることによって、事業や製品のポジションを明確にする分析手法です。
市場成長率が低く、市場占有率が低い
これはつまり、市場は飽和状態で、あまり入り込む余地がない。
:負け犬

市場成長率が高く、市場占有率が低い
これはつまり、市場は見込みがあるが、入り込めていない。ということ
:問題児

市場成長率が高く、市場占有率が高い
これはつまり、市場が見込みがあるが、占有している。
:花形

市場成長率が低く、市場占有率が高い
これはつまり、市場は飽和状態だが、占有状態にある。
:金のなる木


4つの象限の意味
1.花形
 市場占有率が高い象限ですが、市場成長率も高いため、競合他社の参入が予想されます。自社占有率を維持するために、資金投入を続けていくと長期的には市場が安定していきます。花形は、将来の資金源となります。
2.金のなる木
 市場占有率が高く、市場成長率は低い為、競合他社の参入障壁が高いと考えられます。金のなる木は安定的な収入が得られる保証された資金源といえます。
3.問題児
 資金投入によって市場成長率を向上させれば花形になる予備軍です。ただし、市場成長率の低下によって、負け犬となるりすくもあります。問題児は、市場成長率が高く期待できる象限ですが、慎重な対応がひつようです。
4.負け犬
 市場占有率が低く、市場成長率も期待できない象限です。負け犬に位置づけられる事業や製品は現状からの脱却がなければ撤退を検討する必要があります。

(3)事業戦略

事業戦略は、全社戦略の下位に位置づけられる考え方で、企業が持つ事業単位の戦略です。例えば、薄型テレビ事業、携帯電話事業、パソコン事業、ゲーム事業をもつ電機メーカにおいて、主力の薄型テレビ事業をどのように成長されるかを考える戦略が事業戦略となります。全社戦略に基づいて事業戦略を策定します。戦略案は複数策定し、利害関係者の価値観と期待度、外部環境の機械と脅威、内部環境の強みと弱みなどの視点から戦略案を評価します。評価結果をもとに採用する戦略を決定します。事業戦略は、マーケティング戦略、製品戦略、価格戦略などがふくまれます。

ファイブフォース

ファイブフォースはアメリカの経済学者マイケルポーターが掲げた競争戦略の考え方です。外部環境を分析するための手法として用いられます。ファイブフォースでは、企業の経営に影響を与える5つの要因から外部環境を分析します。

1.新規参入の脅威
2.代替製品の脅威
3.バイヤーの交渉力
4.サプライヤの交渉力
5.競争業者間の敵対関係

説明

1.新規参入の脅威
これまでの競合他社以外に新規参入する業者が現れる脅威です。新たな業者が参入することで競合が増加し、業界の力関係が変化することもあります。

2.代替製品の脅威
異なる分野の代替品が流入し、既存製品代替品にとってかわられる脅威です。携帯型音楽プレイヤーが携帯電話に市場をうばわれるような例が考えられます。

3.バイヤーの交渉力
バイヤーの交渉力が強い場合の脅威です。大手コンビニのように大量に商品を購入するようなバイヤーから、ねさげの圧力がかかるような例が考えられます。

4.サプライヤの交渉力
サプライヤーの交渉力が強い場合の脅威です。品薄の人気商品を卸しているサプライヤーが卸値を上げるような例が考えられます。

5.競争業者間の敵対関係
現在、すでに参入炭の競争業者の間の敵対関係から生じる脅威です。台所用洗剤のように商品間の差がなく、商品を差別化することが難しいような例が考えられます。

ブルーオーシャン戦略

企業活動の領域は、企業競争の激しい争いを繰り広げる既存の市場である レッドオーシャン と、競争相手が不在の無限に広がる可能性を秘めた新たな市場である ブルーオーシャン に分けることができます。ブルーオーシャン戦略は、ブルーオーシャンの市場において利益率の高い商品やサービスを提供し、大きな利益の確保を目指します。

SWOT分析

SWOT分析は、企業の経営環境を内部環境と外部環境から分析する手法です。環境ごとに好影響、悪影響を与える要素を考慮した次のようなマトリックスを用います。内部環境を強みと弱みに、外部環境を機会と脅威に分類します。

バリューチェーン分析

マイケルポーターが提唱したバリューチェーンは、企業の内部環境を分析するフレームワークです。企業がもつ強みを明確にすることを目的とします。バリューチェーンでは、企業内で行われる活動について、事業を直接担う 購買物流、製造、出荷物流、マーケティングと販売、サービスの5つの種活動と、種活動をしえんする 調達活動、技術活動、人的資源管理、全般管理 の4つの支援活動に区分しています。
バリューチェーン分析では、企業の活動を主活動と支援活動に分類し、活動の価値とコストを把握して、企業が競争に勝ちぬくための強みを明確にします。

アンゾフの成長マトリックス

アメリカの経済学者アンゾフの提唱した成長マトリックス(または成長ベクトル)では、製品と市場の状況に応じて、企業がどのような方向性をもって活動すべきか、という成長戦略を考えます。製品と市場を2つの軸にして、4つの戦略に分類します。

製品と市場が既存 : これにたいしては 市場浸透戦略
製品と市場が新規 : これにたいしては 多角化戦略
製品が既存で市場が新規 : これにたいしては 市場開発戦略
製品が新規で市場が既存 :これに対しては製品開発戦略

せつめい

市場浸透戦略
既存の市場に対して既存の製品を継続して投入し、売り上げを伸ばす事によって市場占有率を高める戦略です。

製品開発戦略
既存の市場に対して新製品を投入し、既存の市場から新たな売り上げを確保する戦略です。

市場開発戦略
既存の製品を新しい市場に投入し、新たな市場開発によって売り上げの増大を図る戦略です。

多角化戦略
新しい市場に新製品を投入し、市場と製品の両側面を拡大することによって売り上げの増大を図る戦略です。

マイケルポーターの競争戦略

マイケルポーターは競争優位を獲得するための基本的な戦略として、コストリーダーシップ戦略、差別化閃絡、ニッチ戦略を上げています。

コストリーダーシップ戦略
スケールメリットなどによって、コスト低減を目指し、価格が安いことを利点として市場開拓を図る戦略です。

差別化戦略
市場の動向に合わせ、顧客にとって価値のある特有な性質を持つ製品やサービスを武器都市、競争相手との違いを強調して市場開拓を図る戦略です。

ニッチ戦略
企業競争の隙間を狙って、組織が持つ技術や資源を有効に使い、まだ大きく進出する競争相手のいない特定の市場領域で先行してシェアを獲得する戦略です。

2 マーケティング

マーケティング分析では、市場規模、顧客ニーズ、自社の経営資源、業績、競争関係などを明確にします。代表的な分析手法として、次のような手法があります。

(1) マーケティング分析

3C分析
Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の観点から市場環境を分析します。それぞれの観点で明確にするものは次の通りです。
Customer()顧客や市場のニーズの変化
Competitor()競合他社の対応状況
Company()自社の強み

PEST分析
事業環境のマクロ分析手法です。Politics(政治)、Economics(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの側面から自社に影響を与える世の中の動きをとらえます。

RFM分析
顧客の購買行動を、Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(累計購買金額)、の3つの指標から分類し、顧客の選別と格付けをします。顧客を格付けする指標に絶対性はなく、企業ごとに異なります。

マーケットバスケット分析
顧客の取引データを蓄積し、顧客の一度の購買における商品の組み合わせを分析します。例えば販売が好調な商品に、関連商品を並列に陳列する事によって、売り上げ全体の増加につなげることができます。

セグメンテーション
市場にあふれる消費者の数は多く、消費者のニーズも日々変化していきます。急速に変化する市場に対応するためには、効果的にマーケティングを行う必要があります。
セグメンテーションとは、限られた資源を効率よくマーケットに投下するため、不特定多数の消費者を、同じニーズや同じ特性を持つと考えられる集団に細分化することです。細分化した消費者の集団をマーケットセグメント、製品やサービスを売り込むために資源を集中的に投下するマーケットセグメントをターゲットセグメントといいます。


細分化するときに使用する切り口をセグメンテーション変数といいます。
セグメンテーション変数:
地理的変数 : 国、州、地域、都市規模、人口密度など
人口統計的変数 : 年齢、性別、所得、職業、宗教、人種、国籍など
心理的変数 : 社会階層、ライフスタイル、性格など
行動的変数 : 購買契機、使用頻度、ロイヤルティ、使用者状態など

エスノグラフィー
エスノグラフィーは、文化人類学や社会学で用いられる研究手法です。エスノグラフィーでは、調査対象者の日常に密着した行動の観察、綿密なインタビューなどを行います。これをマーケティング調査に活用すると、購買履歴、来店頻度、年齢、住所、などの情報の定量的な分析からは得られにくいような定性的な消費者の行動を調べることが可能になります。エスノグラフィーによってあるものを購入した消費者が次に何を購入するかがわかり、観察やインタビューによって新しい市場、隠れた需要を発掘することが期待できます。


(2) マーケティングミックス マーケティングミックスとは、企業が市場で目標を達成するために使用する複数のマーケティング要素の組み合わせです。マーケティング要素を表す4つの英単語の頭文字がすべてPであることからマーケティングの4Pと呼ばれます。4つの要素を次に示します。

Product(製品):対象となる顧客を想定し、顧客が欲しいと考える製品を開発します。
Promotion(プロモーション):自社の製品を顧客に知ってもらうために、消費者向け、生鮮者向けなど、それぞれのターゲットに応じて広告宣言を行います。
Price(価格):利益を得られるように価格を検討し、販売状況に応じて価格を見直します。また、クレジットの利用可否、割引率など販売条件の決定などを行います。
Place(流通):販売店、代理店、特約店などの顧客接点をどのように巣開拓するのか、既存の顧客接点をどのように活用するのかを検討します。

マーケティングの4pが販売側の視点であることに対して、顧客満足度を高めるために顧客側の視点からマーケティングの4Cが考えられています。

Customer Value(顧客価値)
提供する製品やサービスが顧客にとってどのような価値をもたらすかを検討します。

Communication(コミュニケーション)
提供側から消費側に適切なメッセージが正確に届いているか、消費者から提供側に顧客の声が届いているかを検討します。

Customer Cost(顧客コスト)
提供する製品やサービスにいくらならコスト負担できるのかをけんとうします。

Convenience(利便性)
顧客の求める価値に合致した入手の容易性を検討します。

マーケティングの4Pとマーケティングの4cには 次のような対応関係があります。

Customer Value と Product
Communication と Promotion
Customer Cost と Price
Convenience と Place

販売促進

顧客に商品を販売する場合、顧客単価を高めるために、関連する商品を提示したり、高機能の商品を推奨したりするなどの販売促進策を取ります。

クロスセリング
顧客が購入を希望する商品と関連する商品を勧めて、売り上げの拡大を目指します。例えば、パソコンを購入する顧客に、ぷインターやスキャナを進める場合が該当します。

アップセリング
顧客が購入を希望する商品に対して、高機能や高性能など1つ上のグレードの商品を勧めて、購入単価の拡大を目指します。例えば、デジタルカメラを購入する顧客に画素数の多いモデルを紹介したり、好感度なモデルを紹介したりする場合が該当します。

(3) 顧客満足

 経済が成熟してくると企業側の視点で価値があると考えられる商品や製品を販売しても、顧客満足度は一時的にしか向上しません。顧客にとっての価値を考え顧客が満足する商品や製品を提供する事によって 顧客との良好な関係を維持出来ます。

ライフライムバリュー

ライフタイムバリュー(LTV:File Time Value)は、1人の顧客が障害にわたって企業に支払ってくれる金額から、当該顧客を獲得及び維持する為に投じた費用を差し引いた顧客1人当たりの利益のことで、顧客生涯価値と訳されます。ライフタイムバリューは中長期的に企業が獲得する利益予想の根拠となります。

FSP

顧客と継続的に取引を行うためには、優良顧客の囲い込みや優良顧客の拡大を図る必要があります。FSP(Frequent Shoppers Program)は、顧客1人1人の購買データなどをもとに、顧客の来店頻度、商品の購入金額や累計の購入金額によって顧客をセグメント化し、セグメント別にサービスや特典を変える事によって優良顧客を囲い込みます。FSPの代表例は多くの企業で導入されているポイントプログラムで、蓄積したポイントに応じて割引特典を得たり、ポイントと商品を交換したりすることが可能になります。FSPの起源は、航空会社のマイレージプログラムといわれています。

(4) 製品戦略

製品戦略では、製品(プロダクト)のライフサイクルの特徴をとらえ、適切な戦略を選択します。

プロダクトライフサイクル

プロダクトライフサイクルは製品が市場に流通する状況を、導入期、成長期、成熟期、衰退期、の4段階のライフサイクルとしてとらえます。

導入期
需要は部分的で、新規需要開拓がポイントとなる時期です。

成長期
市場が製品の価値を認識し始め、売り上げは伸びますが、投資も必要な時期です。コスト低減等競争力をつける必要があります。

成熟期
需要が大きくなり、いくつかの特徴ある製品に淘汰されてくる時期です。

衰退期
需要が減って撤退企業が出てくる時期です。代替市場への進出なども考慮します。衰退期には次のような戦略があります。
・収穫戦略:売り上げを維持しつつコストダウンを図り、資金回収をして徐々に撤退する戦略です。
・売却戦略:有利な条件での資産売却を図り、事業から撤退する戦略です。

計画的陳腐化

計画的陳腐化は顧客に既存の製品を古く感じさせることによって市場の拡大を図る製品戦略です。プロダクトライフサイクルの衰退期にある製品に対して新製品を導入し、衰退期にある商品を演出します。計画的陳腐化をさせる既存の製品がある程度認知されていることもあり、継続する製品の導入時の販促コストを少なく出来るというメリットがあります。

ブランド戦略

製品戦略にはブランド戦略が含まれます。ブランドを高めるためにはブランドエクイティを架屈することが重要です。ブランドエクイティとは、ブランドそのものが企業にとって流通性を持った資産であるという概念です。例えば、有名ブランドの腕時計であれば、時計そのものの価値ではなく、有名ブランドの時計をもっているということだけで顧客の満足度が高まります。ブランドエクイティを確立することによって競争優位性を高め、競合他社との差別化が図れるようになります。製品が高価であっても顧客の購買意欲は高く、利益拡大にもつながります。
ブランドエクステンション:拡大戦略
・カテゴリエクステンション:新たな分野の市場に既存ブランドを利用して参入する手法です。例えば電機メーカが自社の知名度を生かして金融分野に進出する場合が考えられます。
・ラインエクステンション:すでに市場で認知されている製品のブランドラインに別の製品を追加する手法です。例えばスマートフォンでマーケットを確保しているメーカが、タブレット型端末を製品として追加するような場合が考えられます。

イノベータ理論

アメリカの社会学者エベレット・M・ロジャーズが提唱した胃のベータ理論において、製品の消費者には次の表で示す5つの採用者区分があるとされています。
・イノベーター(革新者):独自の価値観をもち、新しいものを進んで左京する革新的な採用者のグループです。2.5%を構成する。
・アーリーアダプタ(初期採用者):採用において自ら情報収集を行い判断する初期の採用者のグループです。13.5%
・アーリーマジョリティ(前期追随者):新しいものの採用は比較的慎重な採用者のグループ。全体の34%。
・レイトマジョリティ(後期追随者):周囲の大多数に追従して選択する採用者グループです。全体の34%。
・ラガード(延滞者):保守的であり、選択が一般化するまで選択しない採用者グループです。全体の16%。

イノベーターと、アーリーアダプターの合計の16%が商品普及の境界であるという考え方を普及率16%の理論といいます。
普及率16%の理論に対して、アメリカのマーケティングコンサルタントのジェフリー・A・ムーアは、キャズム理論において、利用者と行動様式に変化を強いるようなハイテク製品においては、アーリーアダプタとアーリーマジョリティの間には深い断絶があると提唱しています。深い断絶はキャズム(Chasm)と呼ばれています。キャズム理論では、アーリーマジョリティに対しても適切なマーケティングが必要であるとされています。

(5)価格戦略

価格戦略は、顧客が購入するサービスや製品の対価として、顧客差支払う金額を決める戦略です。

■スキミング価格戦略
新製品であっても、技術的に高度であったり品質が優れていたりする製品に対して高い価格を設定します。高価格でも購入する顧客をターゲットにして、高い収益を確保する価格戦略です。

■ペネトレーション価格戦略
新製品を早期に市場へ浸透させることを目的として、新製品に低い価格を設定します。

受容の価格弾力性
製品の価格が上昇すると需要は小さくなる。
価格が下がると需要は大きくなる。
受容の価格弾力性は製品の価格の変化率に対する需要量の変化率です。

価格弾力性が大きい
ぜいたく品、代替となる製品が豊富にある、所得に対して支出が大きい製品

価格弾力性が小さい
生活必需品、代替品がない、所得に対して支出が小さい

(6)流通戦略

製品を生産者から消費者まで届ける流通経路が重要になる。流通経路を構成する一連の業者(チャネルメンバ)を流通チャネルと呼びます。流通チャネルには次のような形態があります。

■従来型の流通チャネル
製造業者、卸売業者、小売業者が独立して活動する。

■垂直的マーケティングシステム
製造業者、卸売業者、小売業者が統合されて1つの流通チャネルとみなされます。

■水平的マーケティングシステム
業種間で関連性のない複数の企業が提携します。

■マルチチャネルマーケティングシステム
1つの企業が複数の流通チャネルを束ねます。


垂直的マーケティングシステムの中には、チャネルメンバが契約関係によって統合されるボランタリーチェーンやフランチャイズチェーンなどがあります。

■ボランタリーチェーン
独立した小売店が同じ目的を持った小売店同士で組織を構成し、加盟店が仕入れ、物流などを共同化してチェーンオペレーションを展開する事業形態です。

■フランチャイズチェーン
フランチャイザーと呼ばれる本部がフランチェイジと呼ばれる加盟店に特権を与え、加盟店は本部に対して特権を使用するためのロイヤルティを支払います。

(7)マーケティング手法

アフィリエイトマーケティング
STPマーケティング Segmentation Targeting Positioning
エリアマーケティング
セグメント内差別化マーケティング
ダイレクトマーケティング
パーミッションマーケティング
バイラルマーケティング
マスマーケティング
ワントゥワンマーケティング
コーズリレーテッドマーケティング

3 ビジネス戦略と目標・評価

(1)ビジネス戦略と目標の設定および評価

 具体的な成果の達成度を評価する目標として、KGI(Key Goal Indicator:主要目標達成指標)とKPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)が用いられます。
 KGIは、経営戦略や情報戦略から導かれる目標(ゴール)を定量的に示したものです。具体的な例としては、主要な財務指標である売上高や利益率などが考えられます。
 KPIは、プロセスの実施状況を定量的に計測するための指標です。KGIは最終的な達成指標として設定します。例えば、売上高をKGIとします。売上高は決算後に明確になる指標ですから、期が終わってから目標を達成したのか未達成であったのかが分かることになります。目標を確実に達成するためには、プロセスの途上で実行の度合いを測定し、プロセスをコントロールする必要があります。KPIによってプロセスが適切に実施されているかどうかを中間的に計測できるようになります。KPIの具体的な例としては顧客の増加数や新規獲得の契約数などが考えられます。

(2)目標設定および評価のための代表的な情報分析手法

バランススコアカード
バランススコアカード(BSC)では、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点という4つのカテゴリごとにKGI,KPIを設定して目標の達成度合いを評価し、全体のバランスを取りながら変革を推進する手法です。
バランススコアカードは、全社レベル、事業部門レベル、部・課レベルなど、企業の様々な階層に適用できます。

CSF
CSF Critical Success Factor:主要成功要因 は、事業環境の変化や技術革新の中で、企業の経営目標を達成するために大きな影響を与える要因です。例えばSWOT分析で明確になった課題を解決するために、CSFを明確にします。

4 経営管理システム

代表的な経営管理システムに関連するフレームワークやマネジメント手法など

SFA

Sales Force Automation SFAは、営業力強化のために、情報システムを活用して営業活動を効率化する事です。具体的には、顧客情報、コンタクト履歴、要員のスケジュール、商談結果をデータベースに知奇跡して、営業部門内で共有します。顧客先での提案や顧客からの問い合わせに対応するために、蓄積した情報を携帯型のパソコンやタブレット端末などから利用できるようにします。

SECIモデルCRM

SECIモデルは一橋大学の野中教授らが提唱したナレッジマネジメントのフレームワークです。知識は、次のように暗黙知と形式知に分類できます。
・暗黙知:人間が経験や勘に基づき習得した、文字で表すことの難しい知識です。
・形式知:作業手順やマニュアルなど、文章や図表で表すことのできる知識です。

SECIモデルによって、暗黙知と形式知を交互に交換する事によって、新たな知識が創造されると考えられています。SECIモデルでは、4つのプロセスを繰り返します。
共同化:経験の共有などに暗黙知を伝達します。
表出化:暗黙知を第3者と共有できるよう形式知に変換します。
連結化:形式知を組み合わせて新たな形式知を想像します。
内面化:形式知を個人のスキルとして習得します。

SCM

Supply Chain Managementは、調達 製造 流通 販売 という商品や製品の供給の流れにおいて、関連する企業や組織の間で情報を共有することによって、ビジネスプロセスの全体最適化を図るマネジメント手法です。
・顧客の購買状況を的確に把握し、顧客満足度を向上させる。
・需要予測の精度を向上させる。
・計画の変更に対応できる生産体制を確立する。
・受注から納入までの期間を短縮する。
・入金の早期化によってキャッシュフローを改善する。

購買管理

生産や販売にあたって、外部から適正な品質の部品や商品を必要量だけ、必要な時期までに調達する必要があります。調達に際しては部品や商品の特徴に合わせて次のような発注方法があります。

■定期発注方式
高価なもの、需要変動の大きいもの、リードタイムの長いもの

■定量発注方式
単価が安いもの、需要が安定しているもの、リードタイムの短いもの、安定して入手可能なモノ

■ダブルビン方式
半数ずつ2つに分け、一方がなくなれば、もう半数を発注する。厳密な在庫管理が不要な場合。

CRM

Customer Relationship management は企業の顧客戦略を実現する枠組みとして、企業と顧客との関係強化、継続的な売り上げの向上を図るマネジメント手法です。CRMでは、販売実績などの現場から収集したデータを基に、コンタクト履歴のデータベースを構築します。顧客佐野ニーズにきめ細かく対応し、顧客満足度を高められるように販売の現場で活用できるアクションプランなどを策定します。

TOC

Theory Of Constraints TOC:制約条件の理論は、イスラエル出身の物理学者エリヤフ・ゴールドラット博士が提唱した、生産管理・改善のための理論体系です。業務の目的を最大化する事に主眼を置いています。例えば、製品の生産であれば、生産量を最大にすることが目的になります。生産工程の中にはボトルネックとなる工程があり、ボトルネックの工程が全体の生産量(スループット)を決定します。生産量を向上させるためにはボトルネック工程を重点的に改善する必要があります。

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